いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~


本当は気になるけど、無理強いはしたくない。

それに、もしかしたら、結婚を申し込んだ理由も繋がっているのかもしれないと思えた。

それなら私は、彼が話してくれる時を待とう。


「わかった。待ってるね」


それだけ言って首を縦に振れば、いち君は愛おしげに瞳を細める。


「空白の時間を埋めれるように、君が俺を好きになってくれるように頑張るから、これからも沙優との時間をたくさん作らせて」


彼の目尻が少し赤い気がするのは気のせいじゃない。

その照れが彼の本気を、気持ちを伝えてくれて。

私も頬に熱を感じながら頷けば、いち君は嬉しそうにはにかむ。

その笑みは、まだ幼かったあの日。

初めて彼を遊びに誘った日と同じで、胸がキュンと切なく軋んだ。



< 49 / 252 >

この作品をシェア

pagetop