いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
本当は気になるけど、無理強いはしたくない。
それに、もしかしたら、結婚を申し込んだ理由も繋がっているのかもしれないと思えた。
それなら私は、彼が話してくれる時を待とう。
「わかった。待ってるね」
それだけ言って首を縦に振れば、いち君は愛おしげに瞳を細める。
「空白の時間を埋めれるように、君が俺を好きになってくれるように頑張るから、これからも沙優との時間をたくさん作らせて」
彼の目尻が少し赤い気がするのは気のせいじゃない。
その照れが彼の本気を、気持ちを伝えてくれて。
私も頬に熱を感じながら頷けば、いち君は嬉しそうにはにかむ。
その笑みは、まだ幼かったあの日。
初めて彼を遊びに誘った日と同じで、胸がキュンと切なく軋んだ。