いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
「今回は、花の名前も花言葉も書いてあるから」
微笑んだいち君は、「それで」と言葉を続ける。
「あの花の名前はわかった?」
彼が指す"あの花"とは、多分最初に貰った花のことだろう。
知らない振りすることも可能だけど、いち君に嘘はあまりつきたくなくて。
「……ブーゲンビリア、でしょ?」
名前を紡ぐと、彼はずるいなと苦笑いした。
「知ってたんだ。なのに、知らん顔してたと」
「だって、恥ずかしいというか、信じられないというか」
どれも意味深であった花言葉を思い出し、正直に思っていることを言えば、いち君は困ったように笑う。
「ひどいな。俺は本気だよ。俺はずっと沙優のことだけを想ってるのに」
切なげに微笑みながら、花言葉のように情熱的な台詞を吐かれて。
私の心は稲妻が落とされたかの如くの衝撃を受けた。
あまりの威力に痺れたように思考が固まって、言葉も返せず頬を染めてひたすら呆気に取られる私を、いち君は優しく笑って見つめる。
「そういう照れ屋なところも、変わってないな」
懐かしそうに細められた目が好ましいと告げているようで、私は耳まで真っ赤にしてしまった。