いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
肌は陶器のように美しく、唇は艶やかで。
長い睫毛になだらかな曲線を描く眉。
緩やかに巻かれたロングの髪はどことなくセクシーで、まるで女優さんのようだ。
うっかり見惚れていると、彼女は優しく笑んで首を傾げる。
「ご、ごめんなさい。えっと……」
紅茶で。
そう答えようとした矢先、向かいの椅子に腰を下ろしたいち君が「ああ」と声を発して。
「彼女は紅茶派なんです。アイスティーでいいかな?」
尋ねられ、彼が私の好みを覚えてくれていることに戸惑いながらも頷いた。
「え、は、はい」
確かに、私は紅茶派だ。
中学の時、いち君の家でご馳走になってから好きになった。
デートしている時も選ぶのはなんとなく紅茶だったけど、彼がそんな些細なことをちゃんと見ていて、覚えていてくれたのは少し感動だ。
「じゃあ、吉原さん、よろしくお願いします」
「はい。少々お待ちください」
軽く頭を下げた吉原さんと呼ばれた彼女。
もしかして、彼女が本来担当するはずだった企画部のチーフさんなのでは。
挨拶をしようとするも、吉原さんは出て行ってしまったので、紅茶をいただく際にしようといち君に向き直った。
それにしても……
「もし変に噂されたらどうするの?」
「俺と沙優のことを?」
問われ、私はしっかりと頷いて見せる。