いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
瞳、氷点下
「同窓会?」
金曜の夜。
残業で疲労した足を引きずって帰ってきた私は、ポストに投函されていたいくつかの封筒の中にそれが紛れているのを見つけた。
テーブルに水色のキーケースとその他の封筒を置き、同窓会の案内が書かれている往復ハガキを手に取る。
差出人は高校の同級生だ。
高校の級友で今でも付き合いがあるのは片手で数えられる程。
しかもその全員が女友達。
すでに結婚して子供がいる友人もいるけど、当時はそれぞれの恋愛に奮闘し、泣いたり笑ったり忙しかった記憶がある。
そういえば、中学の同窓会にいち君が来たことは一度もなかった。
誰も連絡先を知らなかったのだから、当たり前なんだけど。
でも、いち君は寂しくなかったんだろうか。
新しい学校で楽しくやれていたから気にしたこともない、とか?
明日はデートの日だ。
差し支えなければ話題にしてみよう。
互いの高校時代のことを。
もちろん、大切なのは今だけど、離れていた間の彼のことを少しくらいは知りたいのだ。
だから。
「俺の高校時代?」
翌日、水族館でガラス張りの水槽越しにクラゲを見つめるいち君の横顔に話を振ってみた。