いとしい君に、一途な求婚~次期社長の甘い囁き~
私は、同窓会には行かないと決めた。
いち君は手紙に大丈夫なんて書いているけど、大丈夫だと強がっているだけかもしれない。
だって、彼はいつだってそうだった。
辛いのを、悲しいのを我慢して、隠して、微笑む。
本当は大丈夫じゃない時ほど、笑うんだ。
当然それは昔の彼のことだけど、人はきっと簡単には変われないものだと思うから。
だから、私はいち君を優先したい。
偽りじゃない、彼の笑顔を守るために。
「笑顔……か」
呟き、手にしていた手紙をしまうと、紙に書いてある"幸福"という文字の隣に"笑顔"と綴る。
いち君がよく笑顔を見せていたのは、温室にいた時だった、と、そこまで考えて思いついた。
幸福や笑顔、プロポーズ等の花言葉を持つ花をモチーフにしてデザインするのはどうか、と。
花であれば、ゴージャスさも可愛らしさもアピールできる。
閃いた私はさっそくキーボードを叩き、花言葉を調べ始めた。
いち君の笑顔を、時々思い浮かべながら。