残念イケメンと愉快なお茶会
「こんな可愛い子が二人も来てくれるんなら歓迎するけどなぁ。」


男の声。状況が確認できず友人に目を向けると、彼女は真っ赤な顔でパクパクと口を動かしていた。


金魚かお前は。


「えっ、えぇ!さ、西城先輩!?」


西城、友人がそう口にした名前には確かに聞き覚えがあった。


「…あの、どいてください。さいじょー先輩。」


彼の腕をどけながら言うと、へぇ、と彼は興味深そうな声をあげてから潔くどいた。


自由になった体を後ろに向けると、ニコリと爽やかな笑みを浮かべた男が立っていた。


友人が顔を赤くするには十分すぎるくらい整った容姿、うさんくさい笑顔。つかめないタイプの奴だ、それが彼の第一印象だった。


「ごめんごめん。俺らの部活の話してたから、ついちょっかいかけたくなっちゃって。」


「いいいいえっ!こちらこそ本人が居ないところですいません!」


何で謝る必要があるの、と彼女に目を向けると、顔をゆでダコにして目を回していた。駄目だ、こりゃ。


「いーよ。こんな可愛い子達の話のネタになるなら大歓迎。」


「可愛い子…ね。えっと、さいじょー先輩。ここ二年の教室ですよ。」


目も合わせずにそう口にすると、彼の表情が一瞬歪む。あ、こいつ猫かぶりだ。


「ああ!俺ここの後輩に用事あってきたんだよね。」


そう言って彼は用事があるという後輩の元へ。友人ははぁあぁ…と深く息をはいた後、私の肩をガシッと掴んですごい剣幕で話し出す。


「は、話しちゃった!てか楓ちゃんなんでそんな平気そうなの!?あのっ!学園でも有名な!西城先輩だよ!?」


「声でかい。聞こえるよ?別に、私はあの人と知り合いって訳でもないしどーでもいい。かっこいいとは思うけど、それだけ。それに…。」


それに、彼はうさんくさい。その言葉を飲み込んで、笑うと、えーと彼女は声をもらした。


「楓ちゃん冷めてるー!」


「はいはい。」


嫌な視線を気づかないふりをして、私は彼女と楽しく会話を続けた。

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