悲劇のヒロインなんかじゃない。
「愛がないのはあなただけです」


「えっ…?」


青嶋さんは言葉をなくして私を見つめる。


「私は父からあなたを紹介されたその日からあなたに惹かれました。」


あの日、父から呼び出され「お前の結婚相手だ」と青嶋さんを紹介された。


青嶋さんは複雑そうな顔を隠すようにぎこちない笑顔を私に向けてきた。


「薫さん、でしたね。経営学を学んできたとか。いろいろ教えていただきたい。」


「そんな…私なんてまだまだですわ。でも…お力になれれば…」


「頼もしいです」


そう言って笑った青嶋さんに私は恋をした。


「あなたと会える日をいつも心待ちしてました。お食事のお誘いも本当にうれしくて毎回舞い上がっていました」


ビジネスの話がメインだったとしても、時々入る青嶋さんのプライベートな話がとても楽しかった。

< 6 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop