12月、想いは叶わないかもしれない。

「詩葉、消しゴム忘れた、貸して?」


そう、隣から聞こえてきた。

隣って言っても朝比奈さんの方じゃなくて反対の方。


「煌陽、しゃーなしだからね」

「ありがとう!サンキュ!」


笑った顔が幼く見えて可愛い。

飛島 煌陽(ひしま こうよう)。

わたしの好きな人。

高校に入って初めて好きになった人で入学から12ヵ月経った今もずっと片想いしている。

煌陽はフレンドリーで優しくて人気者だから女子からモテる。

自慢じゃないけど煌陽の1番の女友達はわたしだとおもう。

煌陽はどう思ってるかしらないけど。

煌陽には中学のときに付き合っていた人がいるらしい、けど、それ以降誰とも付き合ってないからわたしにもチャンスはある。


「、、、詩葉ちゃん」


隣から聞こえてきた、今度は朝比奈さんの方。


「なに?」

「教科書まだ届いてなくて、だから見してくれないかな?」

「今日はずっと自習だから自分のやりたい勉強していいんだよ」

「、、、あ、そっか、ありがとう」


いきなり詩葉ちゃんとか呼ばないでほしい。
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