恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
 「あなたは…」

 目の前の彼女が驚いた顔でそう言った時

 「杏奈、誰かちゃんと確認してから出て、、、って葵?」

 私の後ろからすぐにやってきた修平さんが目を丸くしている。

 「修平君。」

 その声にドクリと心臓が波打った。 

 あの時の女性[ヒト]だ…

 前に修平さんの車を持ってきてくれた会社の人。
 あの時は遠目でちらっとみただけだったけれど、改めてこうして間近に見る彼女はやっぱりとても綺麗だ。
 白い肌はきめ細かくて張りがあるし、二重の瞳は大きいのに少し上がり気味で意思が強そうに見える。その瞳を覆っている睫毛は人形みたいに長い。近くにいるせいか、大人の女性のいい香りもする。

 修平さんの名前を呼んだその人は、自分のことを凝視して固まっている私に目線を戻した。

 大きな二つの目が私を捕えている。
 口は閉じたまま、まるで何かの観察のように、しっかりと私のことを見つめていた。
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