恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!



 ―――、とそこまでの記憶はある。
 目が覚めたらソファーの上だった、と言うなら納得が行くのだけど……

 主のいない部屋にいるのが、なんとなく居た堪れなくて、ベッドから降りてリビングへと向かった。

 
 リビングに行くと、アンジュが朝の挨拶をしに尻尾を振ってやってきた。

 「おはよ、アンジュ」

 アンジュの頭を撫でながら、いつものように挨拶を返すと、「早く散歩に行こうよ」とばかりに尻尾を振って頭を擦り付けてくる。

 「もうちょっと待ててね。」

 もう一度頭を撫でてやってから、ダイニングテーブルの方に歩いて行くと、そこに何かが書かれた紙が置いてあることに気付いた。

 『 杏奈へ

  おはよう。よく寝られたかな?
  ソファーで寝ると風邪を引いてしまうからダメだよ。
  俺はもう仕事に行かないといけないんだ。
  今夜も遅くなると思う。
  しばらくは俺の夕飯は要らないよ。いつ帰れるか分からないからね。
  杏奈は俺のことは気にせず、しっかり休んで。
  
  もし聞いてもらえるなら一つお願いがある。
  遅く帰っても杏奈の顔が見たい。
  杏奈が嫌でなければ、これからは夜は俺の部屋で休んでほしい。
  無理にとは言わないけど。

             修平 』
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