恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!

 翌朝目覚ました瞬間、強い既視感を覚えて勢いよく上半身を起こした。

 私、また修平さんの部屋で寝てる!どうして!?
 ゆうべは、確かに自分のベッドに入ったのに!

 慌ててベッドから飛び出してリビングへと向かった。
 もしかしたらまだ修平さんが家にいるかも、と思って。

 ダイニングキッチンに続くドアを勢いよく開けると、私の期待に反してそこには彼は居なかった。
 広々としたリビングダイニングの空気が冷たい。

 「修平さん…」

 ポツリと漏れる彼の名前と共に、肩が落ちるのが自分でも分かる。
 下に向けた目線に、テーブルの上のお皿が目に入った。昨夜その上にあったおにぎりが、全て無くなっている。空になったお皿の下には何か書かれた紙が敷いてある。
 私は飛びつくようにその紙を手に取った。

 『 杏奈へ

  おはよう。よく眠れた?
  
  おにぎりご馳走さま。すごく美味しかったよ。
  それに元気を貰えた。ありがとう。
  
  ゆうべは俺の部屋で寝なかったんだね。俺の寝る場所を気にしてくれたのかな?
  俺は杏奈がいた方がよく眠れるから、今夜こそ俺の部屋で寝てほしいな。
  まあ、寝てなくても勝手に運ぶけどね。
  俺の手間を省くと思って、よろしくね、杏奈。

                     修平 』


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