恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
13. ハプニングは忘れたころにやってくる!?
髪をサワサワと何かが触る。そのせいで動く毛先が頬に触れてくすぐったい。
瞼の向こうに感じる明かりの具合で、いつもの起床時間よりも遅いことは何となく分かっていた。
アンジュが散歩の催促に来たんだな、とそう思って、目を閉じたまま手を伸ばした。その指先をペロリと舐められる。
「アンジュ……今日はお休みだからもうちょっと、」
『待ってて』と言おうとした口の形のまま、動きが止まる。
舐められている指先の、その手が掴まれているのを理解した瞬間、私は目を閉じていた目を見開いた。
「杏奈、おはよ。今日はおやすみなんだね。」
私の指先をペロペロと舐めながら、視線だけこっちに寄越した修平さんは、そう言って、ニッコリと笑った。
「~~~~っ!!」
ビックリして彼から体を離そうとするけれど、体が動かない。
それは、彼の反対の腕がしっかりと私の腰に絡められているからだ。
素肌と素肌が触れ合って、私はやっと寝ぼけた頭で、はっきりと昨夜のことを思い出した。みるみる体中が赤くなっていく。
「杏奈、照れてる?可愛い。」
そう言って、修平さんは、私の唇に「ちゅっちゅっ」と何度もキスする。
たった数時間前の初めての行為がまた思い出されて、恥ずかしすぎて顔から火が出そうだ。
でも、そのキスを受けながら、私は一つのことを思い出した。
いつまでも、キスを止めない彼の体を、空いた方の手でギュッと押し返す。
キスが止まったその隙をついて、私はお腹から声を上げた。
「あ、あのっ!」
「杏奈どうした?」
「おっ、お風呂に入りたいのっ!」