恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
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「は~~っ、何とか認めて貰えて良かった…」
お店の駐車場から出て、道路を運転しながら修平さんが、心底ホッとしたようにそう言った。
今夜は実家に泊まることにしていたけれど、なんとなくこのまま修平さんと別々になるのが嫌で、両親にはまた別の時に帰ると伝えて、彼の車に乗り込んだのだ。
「色々、ごめんね…こんなことになるなんて思わなくって…」
そのつもりもなく、彼を巻き込んでしまったことに罪悪感を覚えて、助手席から彼の横顔をそっと窺い見ると、チラリと私の方を見た彼と目が合う。
すぐに前に視線を戻した彼の顔が笑っていて、私もホッと息をついた。
「いや、最初はびっくりもしたけど、結果としてご両親のお許しがいただけたから良かったよ。」
修平さんの言うように、父も母も私たちの交際を認めてくれた。しかもそれがだけでなく、このまま一緒に暮らすことにも許可が下りたのだ。
母曰く、「そそっかしい杏奈に一人暮らしをさせて、また同じような心配をするくらいなら、信頼のおける人についていてもらった方が安心」ということだ。
「なんか、複雑……」
その時のことを思い出して、私がぼやくと、運転中の彼が「あはは」と笑ってから
「杏奈はご両親から愛されて大事にされてるんだなあ」
と言うから、気恥ずかしい気持ちもあるけれど、素直な気持ちでそれに答えた。
「うん…それは自覚してる。」
「だね。でも、ご両親以上に大事にするから、ずっと俺の側にいてね、杏奈。」
まっすぐ前を向いたままの彼の口から、そんな甘い言葉が出てくるとは思いもよらず、顔が一瞬にして赤くなった。
「ずっと、って………」
「ずっと、だよ。これ以上は、また別の機会に、ちゃんとね。」
彼の横顔が微笑んでいる気がしたけれど、そちらを向く勇気はなく、私は赤くなった顔を見られたくなくて、反対の窓の外ばかりを見ていた。