恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
「杏奈?どうしたの?」
後ろから修平さんが声を掛けてくれるけれど、返事をすることも出来ない。
「杏奈、俺の方を見て。」
「………、今は、無理。」
小さな声をなんとか絞り出すと、お腹周りに絡めてある腕が、急に私の体を転がした。
それと同時に彼の体が私の上にのしかかる。
「しゅっ、修へ」
両手を掴まれてグッと力が籠められるのを感じた次の瞬間には、彼の唇が私の唇を塞いでいた。
「ん~っんっ!」
朝一番とは思えないほどの濃厚なキスに見舞われる。それは準備運動も助走も一切なく、突然全力疾走を強いられたようなものだった。
強引、というわけではないけれど、何度か交わしただけなのに、彼は私の反応する場所をしっかりと把握していて、いきなりゾクゾクという痺れが駆け抜ける。そのゾクゾクの正体を今の私はすでに知っていて、それまでみたいにパニックになったりはしなくなった。でも、与えられた刺激の先を想像してしまい、体が勝手に反応してしまう。
「んんっ!!」
私の口内を味わうように貪っていた彼の、大きな掌が私の服の中に入ってきて、体が大きく跳ね上がった。
「ん!ん!ん!」
抗議の意を表したくて、自由になった手で、彼の胸をドンドンと叩いた。
だけど彼の手はまだ、サワサワと私の素肌の上を行き来している。
彼の唇が少し離れたすきに、私は叫んだ。
「お仕事!修平さんはお仕事でしょ!!」
下から睨むように修平さんを見つめると、彼は拗ねた目をして「やだ、仕事行きたくない。」と子どもみたいなことを言った。