恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!

 「やだ…って、そんな子どもじゃないんだから。」

 「杏奈をじっくり味わいたい。」

 真剣な瞳でそう言われて、絶句した。
 子どもみたいに駄々をこねて、その一方で、大人の男性として甘い言葉を私に惜しみなく注ぐ。そんな彼の二面性を知って、私は嬉しい反面、ちょっと可笑しくなった。

 「くすっ、なにそれ……ふふふふふっ」

 「杏奈?」

 「修平さんてば、子どもなのか大人なのか、分かんないっ、ふふっふふふ…」

 コロコロと笑い転げる私のことを、修平さんは黙って見つめている。
 笑いの合間に、彼の顔をチラリとみると、その顔が真っ赤に染まっていて、その珍しい現象に、私の笑いはたちまち引っ込んだ。

 「修平さん、顔赤いよ?」

 「っ!!う、うるさいなっ!!」

 照れ隠しの彼の言葉が少し乱雑になる。いつも優しく話す彼の、滅多に出さないその口調に、胸が高鳴った。

 だって、すごく恋人っぽい!!

 心の中で興奮する。これまでの同居生活には無かった砕けた遣り取りが、私たちの距離がずっと近くなったことを教えてくれる。
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