恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
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待ちに待ったその日は、四月の最後の土曜日で、春の大型連休の初日でもある今日だ。
映画の舞台挨拶は午後七時だ。
修平さんは連休の前半と後半の間に挟まれた平日にも休みを取ったらしく、今日から九連休。
図書館は逆に連休中は利用者が多く、イベントも沢山入っている為、私にとっては繁忙期だ。連日出勤する予定の私の為に、アンジュの散歩と食事の準備は修平さんが受け持ってくれることになっている。
いつもよりも早く仕事に出た私は、朝一番から休憩もそこそこにフル回転で業務をこなし続けた。
今日の予定を知っている千紗子さんが、就業時間ピッタリでタイミングよく声を掛けてくれたので、残業なしで上がることが出来たけど、残っている早番メンバーには申し訳ない気持ちになってしまう。
『この恩は明日からの働きでお返しします!』と心の中で謝って、ダッシュで休憩室に向かい、持ってきていた服に着替え手早く化粧と髪型を直す。
図書館の職員専用口を飛び出すように出ると、そこには見慣れた黒い車が停まっている。
小走りで駆け寄ると、運転席から修平さんが降りてきた。
「お疲れ、杏奈。」
「お待たせしてごめんね。迎えに来てくれてありがとう。」
修平さんは私が持っている荷物をさりげなく受け取って、助手席を開けてくれる。
「本当は図書館に入って杏奈の仕事姿を見ていたかったんだけど、杏奈が緊張してまた階段から落ちたら困るからやめておいたよ。」
「もっ、もう落ちないよっ!」
彼は「あははっ」と笑って、助手席のドアをそっと閉めた。