恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!

 そんな私の気分なんていざ知らず、修平さんが私の額に唇を寄せる。

 「可愛くない態度を取る、杏奈が可愛すぎて困るよ。」

 よく分からないことを言う修平さんを、下から睨み上げる。そんな私の目じりに「ちゅっ」とリップ音を立てた彼は、瞳をキラキラとさせながら、満面の笑顔を浮かべた。

 「杏奈にヤキモチを妬いてもらえるなんて、嬉しすぎる。ヤキモチを焼く杏奈の顔も可愛すぎるんだな。」

 ニコニコと本当に嬉しそうに言われたその台詞に、頭の中が真っ白になった。

 「俺、作家としての『橘ゆかり』のことは好きだけど、目の前の彼女が隆弘さんと仲良くしてても、全然なんとも思わなかったよ。でも、杏奈が隆弘さんと仲良くするのは、全然妬ける。」

 「え?親子だよ??」

 「もちろん。そうじゃなかったら許さない。」

 彼の突然の発言に目が点になる。

 「俺ばっかり妬いてるのかと思ってたから、杏奈にヤキモチを妬いてもらえるなんて、嬉しすぎるんだ。」

 「修平さん……」

 「ヤキモチだって、杏奈が俺のことを好きな証拠でしょ?」

 甘い瞳で優しく見下ろされて、胸が熱くなった。
 下ろしていた腕を彼の体に回して、ギュッと抱きつくと、彼もそれ以上の力で抱きしめ返してくれる。

 「…ごめんなさい。」
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