恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
「なにが?」
「……色々。母のこと、黙っていたこととか、一人で勝手に怒っていたこととか…」
彼の胸に顔を埋めて、モゴモゴと謝る。
「これくらいのヤキモチは大歓迎。由香梨さんのことは、……正直言って、驚きすぎた。」
「……だよね、…ごめんなさい。」
「色々、聞きたいことはあるけど、…杏奈。」
「はい。」
修平さんは、一旦言葉を区切って私の名前を呼んだ。彼の胸に顔をうずめている私の肩がピクリと跳ねる。
お母さんが『橘ゆかり』だってこと、今までずっと黙っていたのは私だもん。修平さんが怒ってるなら、ちゃんと謝らないと………
「杏奈、顔を上げて。」
「………」
恐る恐る顔を上げると、いきなり、唇を塞がれた。
しっとりと重なる口づけが甘い。優しくくすぐるような唇からは、私のことを大事にしてくれているのが伝わってくる。彼から唇を吸われたり舌先でくすぐったりされるうちに、知らず知らずのうちに体の力が抜けてきて、脱力した体を彼の腕に預ける。
甘い甘い蕩けるような口づけから私を一旦解放した彼に、体を優しく抱きしめられる。
「杏奈、好きだよ。」
耳元で囁かれると、足元から崩れそうになる。
彼はいったいどれだけ私のことを溶かしきればいいんだろう。
頭がぼうっとして何も考えられない。