恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!
部屋の入口に置きっぱなしにしておいた鞄の中に手を入れるて、それをそっと取り出す。
強く掴むとボロボロになってしまいそうで、両手でそっと掬い上げるように持ち上げた。
そのまま高坏を運ぶように恭しく『宝物』をリビングまで運んだ。
「これなの。」
まだテラスの窓に座ったままの修平さんに、私は『宝物』をそっと見せた。
「これは、、、手作りの絵本?」
「うん。」
私の両掌の上に乗っかったそれは、しっとりと濡れて表紙の絵とタイトルが滲んでぼやけている。
机の引き出しの中に仕舞っておいたのが幸いして、焼かれることはなかったけれど、こうもびしょ濡れになってしまっては、ページを開くのも困難だ。無理に開いて破れたらどうしよう…と思うと手をつけることも出来ない。
「この絵本は私の五歳の誕生日に母が作ってくれたものなの。」
「お母さんが?」
「そう。うちの母は私が物心つく頃からすごく忙しく働いてて、私はあんまり構ってもらえなかったの。私はよく覚えてないんだけど、四歳くらいのころの私はちょっとしたことで良く泣いて、いつもグズグズしてたみたい。そんな私に忙しい母が作ってくれたのがこの絵本なんだ。」
修平さんに私の『宝物』の話をしているうちに、幼い頃の自分を思い出してくる。
強く掴むとボロボロになってしまいそうで、両手でそっと掬い上げるように持ち上げた。
そのまま高坏を運ぶように恭しく『宝物』をリビングまで運んだ。
「これなの。」
まだテラスの窓に座ったままの修平さんに、私は『宝物』をそっと見せた。
「これは、、、手作りの絵本?」
「うん。」
私の両掌の上に乗っかったそれは、しっとりと濡れて表紙の絵とタイトルが滲んでぼやけている。
机の引き出しの中に仕舞っておいたのが幸いして、焼かれることはなかったけれど、こうもびしょ濡れになってしまっては、ページを開くのも困難だ。無理に開いて破れたらどうしよう…と思うと手をつけることも出来ない。
「この絵本は私の五歳の誕生日に母が作ってくれたものなの。」
「お母さんが?」
「そう。うちの母は私が物心つく頃からすごく忙しく働いてて、私はあんまり構ってもらえなかったの。私はよく覚えてないんだけど、四歳くらいのころの私はちょっとしたことで良く泣いて、いつもグズグズしてたみたい。そんな私に忙しい母が作ってくれたのがこの絵本なんだ。」
修平さんに私の『宝物』の話をしているうちに、幼い頃の自分を思い出してくる。