恩返しは溺甘同居で!?~ハプニングにご注意を!!

 アンジュの散歩に行った後、図書館へと出勤した。
 昨日お休みさせていただいたから、今日は普段より少し早く家を出ることにした。
 修平さんに借りている自転車を押しながらアプローチを進むと、リビングの横のテラスの方から顔を出した修平さんとアンジュに「いってらっしゃい。気を付けて。」と見送られて、なんだか胸がほんわりと温かくなった。


 図書館に着くと、先に来ていた千紗子さんが私に気付いて駆け寄ってきた。

 「杏ちゃん!!大丈夫!?」

 彼女はそう言うなり、私をぎゅうっと抱きしめた。

 「千紗子さん…」

 「大変だったよね、私何にも出来なくてごめんなさい。」

 彼女の柔らかな腕の中で、身も心も温かくなる。
 緩みかけた涙腺を引き締めるつもりで、一度瞳を閉じた。

 彼女の腕からそっと体を離して「ありがとうございます。」と笑って見せた。

 「杏ちゃん…」

 「お仕事を代わって頂けて本当に助かりました。こうやって心配していただけるから、私頑張れたんだと思います。いつもありがとうございます。」

 私が感謝を伝えると、千紗子さんはちょっと瞳を潤ませてから

 「私に出来ることがあったら遠慮せずに言ってね。」

 と優しく背中を撫でてくれたのが嬉しくて、私はいつも以上に元気な声で「はい!」と言って笑った。
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