Pretend♡lover
「はぁ・・・。すごい取り巻き・・・。」
「うん。安定の人気だね。」
隼人との出会いは去年の丁度この日だった。
高校に入って電車通学になって初めての通勤ラッシュに巻き込まれた時のことだった。
去年のあの出来事からずっと二年生は同じクラスになりますようにと強く願っていた梓。
「苦しい…」
窒息しそうなくらいにぎゅうぎゅう詰めにされていて早く学校の最寄りに着かないかと願うばかり。
電車が停車して扉が開いた瞬間、勢いよく大勢の人が外へ出て行った。押したりぶつかったりそれはもうすごくめちゃくちゃ。
その波に梓も飲まれてしまった。
「うわ!!!」
「おっと!大丈夫ですか?」
押されて転びそうになった梓の腕をとっさに掴み助けてくれた。
それが隼人だった。
「あ・・・すいません!!ごめんなさい!」
「この時間の電車は混むんですね・・・。気を付けてくださいね。」
そう言いながらも梓の衣服を正してあげる。
「はい!あ、あの、」
「ごめん!俺行かなきゃ!」
携帯の時間を確認すると急いで走って行ってしまった。