Pretend♡lover
「いってきまーす!!行こう裕太郎!」
「ごちそうさまでした。」
身支度を終えた梓は裕太郎と一緒にいつもの様に登校。
幼稚園から今まで、ずっと毎朝登校して帰りもどちらかが予定がない日は必ず一緒に帰っていた。
義務感もなく、お互いなんとなく今までそうしてきた。
お互いの親同士が元々仲がよかったこともあり、生まれた時から一緒にいる。どちらかが勝手に家にいても不思議に思わないほど家族のような関係だった。
それどころか、親同士は自分の子供たちが結婚してくれないかと願っているほどだった。
けれど、最近の二人の関係は少し変わってきていた。
特に裕太郎。
裕太郎は梓との接し方にすごく困っていた。
家族みたいに仲が良いとはいえ、裕太郎は違う。
少しの嫉妬心から恋人ごっこを提案したが、ちょっと後悔している。
恋人ごっこをしようと言ってから、逆に意識しすぎてどうしたらいいか分からなくなっている。
裕太郎は梓が好きだから、当然恋愛経験はない。
むしろ連敗中に近い。
一方梓は憧れの隼人に夢中で、裕太郎のことを放置することが増えていた。
「梓…」
「なに?」
「課外学習さ、どこ行きたい?」
「うーん。指定された市の近辺じゃないとダメなんだよね?じゃあ、〇〇工場は外せない!!」
「お!じゃあそこ行こうよ!俺からペアのやつに言っとくな!……って、男のペア俺しかいなくね!?」
先生の決まりで、課外学習は一応男女2人ずつは必ずだった。
「そうじゃん!!!え、どうしよう…」
「しょうがない、今日学校ついたらホームルームの前に聞いみよう」
「うん…。」