Pretend♡lover
放課後のホームルームの前
ちゃんと話そうと決心をした梓は
隣の席の裕太郎に話しかける。
「ねぇ裕太郎。」
「・・・。」
「裕太郎・・・。」
話をかけてはみたが、裕太郎はやっぱりちゃんと返事してくれない。
寝たふりをして机に伏せている。
「みんな、今日のホームルームは先生が急な用事で参加せずに帰るみたいだからこれでおしまい!」
クラス委員代理の隼人がみんなに報告をする。
「「わーい!帰ろ帰ろ!!」」
クラスの生徒たちがバラバラと帰って行く。
みんなと一緒に裕太郎も足早に帰ろうとする。
「裕太郎!!!」
思ってる以上に大きな声を上げてしまって、周りの生徒も自分自身もびっくりしてしまう。
その場にいた生徒たちが梓と裕太郎を見る。
「・・・」
隼人もビックリしている。
「「ねぇ・・・あの二人って付き合ってるのかな?」」
「「去年も私、あの二人と同じクラスだったんだけど、なんだか仲良過ぎってゆうか!」」
「「席もずっと隣だった!!そう言えばずっと一緒にいる!!」」
野次馬女子たちを筆頭にクラス中がざわめき始める。
「「山下さん静かな子だから、ああいうの珍しいんじゃない?」」
「「確かに。何かあったのかな!?」」
「はぁ…。…何?」
注目を浴びてしまったことに大きなため息をつく。
「……あのね、話があるんだけど・・・。」
「あ~・・・俺も話ある。」
「まぁ、ここで話すとアレだから、とりあえず、帰りながら話すか。」
「うん。そうだね。」
2人はとりあえずこの痛いほどの注目をなんとかしたかった。
隼人は、そんな足早に教室を出て行く2人を不思議そうに目で追いかけていた。