溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「見合い相手にあなたが選ばれるよう、条件を出したんです。もし、他の女性の釣書が届いた時は、あなたに当たるまで断り続けるつもりでした」
にこっと微笑んだ彼の口元で、唇が綺麗な弧を描く。
すべての所作や表情が色っぽくて、だけど頼りがいのある身体つきで……どれだけの女性を泣かせてきたのかは、想像に容易い。
経験の浅い私でさえ、彼の不埒な日常は目に見えるようだ。
「それに、誤解を解いておきたかった。眠った女性を襲うほど、乱れた生活はしていません」
「……えっ!? あの……だって、あの日」
キス、しようとしてたじゃない。
朝起きたら、一糸まとわぬ姿にされていたし。
それに、連絡だってくれなかった。
つまりは、遊ばれただけって……そう思っていたのに。