溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「返事は、YESしか受け付けないけど」
「でも、やっぱり、それだけは」
初めてが彼への償いなんて嫌。だったら、遊ばれたほうがまだマシだ。
できれば、想いを交わして愛し合いたいけれど……彼はそれを許さないだろう。
「ぷっ……」
抱きしめていた腕を緩めた彼は、理解できずにいる私を見つめながら吹きだした。
「な、なんで笑うんですか!?」
動揺で真っ赤になりつつ、彼に問いかけた。
もう十分、償ったような気分だ。あの日、彼を怒らせてしまった以上に、私の心が掻き乱されていると思う。
「あなたがあまりにもかわいいから、帰したくなくなってしまいました。悪いけど、今日からここで暮らして」
「暮らす……って、あのっ、えっ!?」
項垂れたのか、他に選択肢がないから頷いたのか自分でも分からない。
だけど、彼の色気に当てられた上に、急展開の連続で一気に酔いが回ってしまい、それからしばらくは動けなかった。