溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「あぁ……ヤバいな」
だけど彼は私に手鏡を渡してすぐに、顔を背けてしまった。
「やっぱりこんな素敵な着物、私には似合いませんから」
「違うよ、そうじゃなくて。なんていうか……」
ゆっくり鏡の中を覗くと、真っ赤な顔をした八神さんと目が合った。
「咲のうなじ、色っぽすぎて……俺がどうにかなりそう」
「えぇっ!? ……や、八神さんっ!?」
オオカミ御曹司の本性を現すように、彼は私を抱きしめて首筋にキスを落とした。
「んっ……ダメ、ですっ!」
「咲が悪いんだよ。もともとかわいいのに、着物で俺を誘惑するから」
「八神さんが、着せたのにっ……んっ……」
首筋に何度も唇が触れて、そのたびに私は甘ったるい声を抑えるのに必死になる。