溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
次の瞬間、捩った勢いで馬乗りになった彼が見下ろしてくる。
彼の瞳が熱っぽくて、耐えられずに視線を逸らした。
「咲、ごめん」
一週間前の出来事が、鮮明に脳裏をよぎる。
彼の店の座敷で首筋にたくさんキスをされた時と同じように、今夜も彼はしっとりと口づけた。
だけど、まだ私は彼を信用したわけではない。
毎夜、ひとつのベッドで眠るのも、ソファを使うことを禁じられているからで……。
「んっ……八神さん、ダメです」
彼が着ているガウンは胸元が大きく開いていて、鍛えられた胸板がやたら色っぽくて、私はさらに顔を背けた。
だけど、首筋が一層あらわになってしまい、耳元に感じた彼の吐息に悶える。
「ダメっ……やだ、待って」
パジャマの裾から入ってきた彼の指が脇腹に触れ、私は彼の肩を思い切り押し返した。