溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
「逆に聞くけど、咲はなんでそんなに自己評価が低いの?」
「え?」
「俺にとっては、最高にかわいい女なのに、“私なんか”って言ってほしくない」
私から下りて隣に横たわった彼はベッドに肘を突き、愛しい人へ向けるまなざしで見つめてきた。
それに、卑下してしまう私の代わりに、救ってくれた彼の優しさに触れて、少し嬉しくも感じる。
「そこまで言うなら、私のいいところを教えてください」
「いいよ」
嬉しそうに微笑んだ彼は、私の黒髪をひと束すくって口づける。
「綺麗なバージンヘア。艶々で素直で、やわらかくて……すごくいい匂いがするんだ。知ってた?」
「ふふっ、シャンプーの匂いですよ?」
「それでも、咲の匂いなんだからいいの。あとは……」
誰にも見向きされずに、地味に生きてきた私に興味を持ってくれているだけで救われるようだ。
次に彼が触れたのは、私の耳。
耳介に沿って撫で上げられると、自然と肩が竦んだ。