溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~

「形がよくて、女性らしいサイズの耳。かわいくて食べてみたくなる」
「……食べられません」
「あとは、相手の気持ちを考えられる優しい性格と、純粋なところ。意外と頑固だけど、そこも好きだよ」

 にこっと微笑みを残した彼に、褒められっぱなしだった私の胸が鳴る。
 それに、“好き”と言われた瞬間、視界ごと鼓動とともに揺れたような気がした。


「まだあるけど、聞いてくれる?」
「も、もういいですっ」

 際限なく褒めちぎってくれそうな彼を制し、私は羽毛布団を頭の先までかぶる。


「おやすみ」
「……っ」

 彼も同じようにもぐりこんできて、背を向けていた私のうなじにそっとキスを落とした。


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