溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~
荘厳な彼の実家は、歴史を感じる木造の母屋と近代的な佇まいの離れがある。
「一誠です。ただいま戻りました」
母屋の居間の前で、彼が両膝をついて声をかけている。
障子越しに「入りなさい」と返事が聞こえ、彼は丁寧に戸を引いた。
「ようこそいらっしゃいました。三藤さん、お待ちしていましたよ」
もっと緊張感のある雰囲気に包まれているとばかり思っていたのに、彼の祖父と父親、そして初対面の母親はとてもにこやかに私を迎えてくれた。
「お久しぶりです。本日はお時間をいただきありがとうございます」
二十畳はありそうな和室に通され、座卓を囲むとさらに緊張が増す。
最初のうちは近況や彼のご家族のこと、私の家族のことなどで和やかに話していたけれど、彼の祖父が話題を変えて真剣な面持ちになった。