溺れて染まるは彼の色~御曹司とお見合い恋愛~


 夜になり、ホテルからの景色が煌めく時間になった。
 今日も一緒にベッドに入ると、彼は私を抱きしめてくれる。


「咲、こっち向いて」

 背中を見せていた私はゆっくりと向き直って、彼のガウンの胸元にそっと手を添えた。


「不器用で、でも一生懸命で……俺を信じてくれるお前が、愛しくてたまらないよ」

 そっと髪を撫でた彼の大きな手で片頬が包まれた。


「本当は咲のご両親に挨拶を済ませて、引っ越してからって考えてたんだけど……」

 不意に額にキスをされて、思わずまぶたを閉じたら、そっと唇が重ねられた。


「俺のこと、名前で呼んでみて」
「っ……一誠、さん」

 口角を上げ、綺麗な微笑みを浮かべる彼と見つめ合う。


「今のキスが、初めて……でいいんですよね?」
「そうだよ。やっと咲を愛せる」

 初めて知った彼のキスは、優しくて温かかった。


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