生贄姫は隣国の死神王子と送る平穏な毎日を所望する
「で、その恰好は何だ?」
「私、ご存じの通り何事も形にこだわるタイプですので、東国のお酒に合わせて東国の衣装も用意してみました」
テオドールが執務室を片付ける間、晩酌の準備をしますねと客間に移動したリーリエは晩酌の準備と共に自身の衣装も着替えていた。
本日のリーリエの衣装は艶やかな花柄の紅い着物で、髪は簪でまとめ上げられうなじがキレイに見えていた。
「錫のぐい呑み取り寄せたとき、ついでに取り寄せたのですよ。やっと着れました。旦那さまも着ます? 着つけますけど」
男性用もあるのですよとリーリエは勧めるがいらないと一蹴される。
「えぇー絶対似合いますのに。残念」
まぁ、強要はしませんとリーリエはそれ以上勧めず、テオドールのぐい呑みにお酒を注ぐ。
「なんでリーリエはそんなに衣装に拘るんだ?」
「何故と言われましても」
だってこの世界の衣装全部神レベルで可愛いし。
見ているだけで満たされるのに推しが生で着てくれたらテンション爆上げだし。
というのは、もちろんあるのだが。
「違う自分になれるような気がするから、というのもあるのですが、単純に違う文化に触れるのが面白いから、ですかね? そこから新しい発想にも繋がりますし、遊びは大事なのですよ」
自分の分のぐい呑みにお酒を注いでリーリエはそう言って笑った。
「じゃあ、準備ができたところで。宅飲みはじめましょうか?」
軽くぐい呑みを掲げて、
「やってみたかったシチュエーション第5位! 推しとオフ飲み会、in別邸」
イェーイと普段では絶対やらないテンションでリーリエがそう言う。
「……待て。なんだそれは」
体感温度がすっと冷えるくらい冷たい視線を送られてリーリエは滑ったなと悟る。
「いや、だって私と旦那さま2人じゃ盛り上がらないかなって」
お酒の力を借りるタイプでもないし、そもそも2人ともお酒にかなり強い方だ。
「ゼノ様でもいればともかく、私と2人では特に何のトラブルも起きませんし」
「いるか? それ」
何を言っているんだとテオドールの訝しむ視線に耐え切れず、リーリエは視線を落とす。
「私、ご存じの通り何事も形にこだわるタイプですので、東国のお酒に合わせて東国の衣装も用意してみました」
テオドールが執務室を片付ける間、晩酌の準備をしますねと客間に移動したリーリエは晩酌の準備と共に自身の衣装も着替えていた。
本日のリーリエの衣装は艶やかな花柄の紅い着物で、髪は簪でまとめ上げられうなじがキレイに見えていた。
「錫のぐい呑み取り寄せたとき、ついでに取り寄せたのですよ。やっと着れました。旦那さまも着ます? 着つけますけど」
男性用もあるのですよとリーリエは勧めるがいらないと一蹴される。
「えぇー絶対似合いますのに。残念」
まぁ、強要はしませんとリーリエはそれ以上勧めず、テオドールのぐい呑みにお酒を注ぐ。
「なんでリーリエはそんなに衣装に拘るんだ?」
「何故と言われましても」
だってこの世界の衣装全部神レベルで可愛いし。
見ているだけで満たされるのに推しが生で着てくれたらテンション爆上げだし。
というのは、もちろんあるのだが。
「違う自分になれるような気がするから、というのもあるのですが、単純に違う文化に触れるのが面白いから、ですかね? そこから新しい発想にも繋がりますし、遊びは大事なのですよ」
自分の分のぐい呑みにお酒を注いでリーリエはそう言って笑った。
「じゃあ、準備ができたところで。宅飲みはじめましょうか?」
軽くぐい呑みを掲げて、
「やってみたかったシチュエーション第5位! 推しとオフ飲み会、in別邸」
イェーイと普段では絶対やらないテンションでリーリエがそう言う。
「……待て。なんだそれは」
体感温度がすっと冷えるくらい冷たい視線を送られてリーリエは滑ったなと悟る。
「いや、だって私と旦那さま2人じゃ盛り上がらないかなって」
お酒の力を借りるタイプでもないし、そもそも2人ともお酒にかなり強い方だ。
「ゼノ様でもいればともかく、私と2人では特に何のトラブルも起きませんし」
「いるか? それ」
何を言っているんだとテオドールの訝しむ視線に耐え切れず、リーリエは視線を落とす。