生贄姫は隣国の死神王子と送る平穏な毎日を所望する
「2つ、お伺いしてもよいですか?」
出来上がった契約書を1部フィオナに渡しながら、リーリエは笑顔のまま尋ねる。
「何?」
「例えば、契約できない魔獣を人為的に操ることって可能だと思います?」
「聞いたことない。けど、”ありえない”は”ありえない”。もう1個は?」
「第一騎士団団長って、フィーから見てどんな方です?」
リーリエはフィオナの赤眼をじっと覗く。
「……可愛くない」
しばしの沈黙のあと、フィオナは吐き出すようにそう言った。
参考になりましたとリーリエは微笑んで契約書を丸める。
「では、一週間後に闘技場で」
リーリエは礼をして退席を告げる。それに倣うようにゼノとテオドールもそれぞれ立ち上がった。
「クロ」
フィオナは小さな声でテオドールを呼び止め、その服を引っ張る。
「リリのこと好き?」
呼び止められた意図が分からず訝し気な視線を落とすテオドールを見上げながらフィオナは続ける。
「忠告。あの手の魔術師は、強い。でも、脆い。リリが好きなら、見ててあげて」
「……なぜ、それを俺に言う?」
「似ているから。かつてのカナン王国筆頭魔術師、アリスティナ・アシュレイに」
アシュレイの名に反応し、テオドールは目をわずかに大きくする。
「クロもリリもまだまだ若い。かわいい子」
テオドールの反応にふふっと小さく笑ってフィオナがつぶやく。
「……大魔導師いくつだよ」
「女の子に年齢聞くの、めっ。でも、クロよりずっとお姉さん。つまり合法ロリです☆」
合法ロリと言い放った年齢不詳のフィオナの言動に一瞬固まったテオドールは、魔術師にしろ魔導師にしろ魔法関連を仕事にする奴はみんなこうなのかと呆れたように苦笑した。
「忠告、聞くべし」
用件は済んだとテオドールから手を離したフィオナは親指を立てて、
「健闘を祈る」
とテオドールを見送った。
出来上がった契約書を1部フィオナに渡しながら、リーリエは笑顔のまま尋ねる。
「何?」
「例えば、契約できない魔獣を人為的に操ることって可能だと思います?」
「聞いたことない。けど、”ありえない”は”ありえない”。もう1個は?」
「第一騎士団団長って、フィーから見てどんな方です?」
リーリエはフィオナの赤眼をじっと覗く。
「……可愛くない」
しばしの沈黙のあと、フィオナは吐き出すようにそう言った。
参考になりましたとリーリエは微笑んで契約書を丸める。
「では、一週間後に闘技場で」
リーリエは礼をして退席を告げる。それに倣うようにゼノとテオドールもそれぞれ立ち上がった。
「クロ」
フィオナは小さな声でテオドールを呼び止め、その服を引っ張る。
「リリのこと好き?」
呼び止められた意図が分からず訝し気な視線を落とすテオドールを見上げながらフィオナは続ける。
「忠告。あの手の魔術師は、強い。でも、脆い。リリが好きなら、見ててあげて」
「……なぜ、それを俺に言う?」
「似ているから。かつてのカナン王国筆頭魔術師、アリスティナ・アシュレイに」
アシュレイの名に反応し、テオドールは目をわずかに大きくする。
「クロもリリもまだまだ若い。かわいい子」
テオドールの反応にふふっと小さく笑ってフィオナがつぶやく。
「……大魔導師いくつだよ」
「女の子に年齢聞くの、めっ。でも、クロよりずっとお姉さん。つまり合法ロリです☆」
合法ロリと言い放った年齢不詳のフィオナの言動に一瞬固まったテオドールは、魔術師にしろ魔導師にしろ魔法関連を仕事にする奴はみんなこうなのかと呆れたように苦笑した。
「忠告、聞くべし」
用件は済んだとテオドールから手を離したフィオナは親指を立てて、
「健闘を祈る」
とテオドールを見送った。