生贄姫は隣国の死神王子と送る平穏な毎日を所望する
「最近、調子悪かったろ? 準備も忙しかったし、疲れてないか? とりあえず始まるまで座ってろ」
抱き抱えたリーリエを軽々と運び、テオドールはソファーに座らせる。
「気づかれていたことに驚きですが、大丈夫ですよ。別に病気とかではないので。どちらかというと、旦那さまの方が今日のために無理されたのでは?」
結婚してからテオドールの仕事量の多さに苦言を呈し、アルテミス公爵領の領地運営を請け負いながら全力で働き方改革に取り組ませたリーリエは、それでも休みがまだ少ないテオドールにそう尋ねる。
「リィが来てから随分楽になったけどな」
「個人的な目標は旦那さまに週休2日、残業なしの一日8時間労働、有給を定期的に取らせることですけどね」
「それは、かなり難しいな」
「ワークライフバランス大事ですよ。目標は高く持たないと」
旦那さまの体調管理も妻のお仕事ですからとリーリエはドヤっと胸を張る。
「それはおいおいの課題として、俺はいつまで"旦那さま"呼びなんだ? あと敬語もそろそろやめて欲しい」
とやや不満そうにテオドールは口にする。 リーリエは基本的に外ではテオドールを旦那さまと呼ぶが、他の親しい人物は愛称の上に敬称も無しなのでいつも不満を訴えていた。
その少し拗ねた顔が可愛いくてついこのままできてしまったが、今後のためにもそろそろ潮時かなとリーリエは内心でつぶやく。
「……そうですね。敬語は、もう癖のようなものなのでおいおいの課題として、これを機に改めましょうか。まずは呼び方から」
大好きな青と金の瞳を見つめて、
「テオ、いつもわがままを聞いてくれてありがとう」
とリーリエは幸せそうにそう言った。
「リィのはわがままとは言えないが、俺にできる事ならなんでも聞いてやる」
リーリエにテオと呼ばれた事で機嫌良さそうに笑うテオドールはそう言って妻を甘やかす。たまには嗜めて叱ってくれないと困りますよとリーリエは苦笑して、
「ああ、でも叶うなら、テオにはこれからはもっと家にいて欲しいんですよね」
忙しいのは知っているので、無理ない範囲でいいのですけれど、と願う。
「やっぱり、どこか悪いのか? スキル暴走しそうとか?」
心配そうにリーリエを覗き込む青と金の瞳にリーリエは、
「テオはホントに過保護な上に心配症ですね」
そう言ってクスクスと声を立てて笑った。
「リィに何かあったら、俺が困る。あとお義父さんたちに会わせる顔がないだろうが」
と、妻だけでなく妻の実家も大事にするテオドールは旦那さまとして本当に文句がつけられないくらいできた人だよなぁとリーリエは思う。
「んー病気ではなくて、嬉しい事なのですけど、体調不良はきっとこれから続くので、おうちに帰ったら教えてあげます」
疑問符を掲げる最愛の夫から蜂蜜色の髪を撫でられながら、リーリエはイタズラっぽく笑う。
家族というものが分からないっと言っていたテオドールもリーリエと関係を育んだことやアシュレイ公爵家への出入りを通して、家族のイメージがついただろう。
この事を告げたらテオドールはどんな顔をするのかなと想像して、翡翠色の瞳はワクワクと楽しそうな色に染まっていた。
抱き抱えたリーリエを軽々と運び、テオドールはソファーに座らせる。
「気づかれていたことに驚きですが、大丈夫ですよ。別に病気とかではないので。どちらかというと、旦那さまの方が今日のために無理されたのでは?」
結婚してからテオドールの仕事量の多さに苦言を呈し、アルテミス公爵領の領地運営を請け負いながら全力で働き方改革に取り組ませたリーリエは、それでも休みがまだ少ないテオドールにそう尋ねる。
「リィが来てから随分楽になったけどな」
「個人的な目標は旦那さまに週休2日、残業なしの一日8時間労働、有給を定期的に取らせることですけどね」
「それは、かなり難しいな」
「ワークライフバランス大事ですよ。目標は高く持たないと」
旦那さまの体調管理も妻のお仕事ですからとリーリエはドヤっと胸を張る。
「それはおいおいの課題として、俺はいつまで"旦那さま"呼びなんだ? あと敬語もそろそろやめて欲しい」
とやや不満そうにテオドールは口にする。 リーリエは基本的に外ではテオドールを旦那さまと呼ぶが、他の親しい人物は愛称の上に敬称も無しなのでいつも不満を訴えていた。
その少し拗ねた顔が可愛いくてついこのままできてしまったが、今後のためにもそろそろ潮時かなとリーリエは内心でつぶやく。
「……そうですね。敬語は、もう癖のようなものなのでおいおいの課題として、これを機に改めましょうか。まずは呼び方から」
大好きな青と金の瞳を見つめて、
「テオ、いつもわがままを聞いてくれてありがとう」
とリーリエは幸せそうにそう言った。
「リィのはわがままとは言えないが、俺にできる事ならなんでも聞いてやる」
リーリエにテオと呼ばれた事で機嫌良さそうに笑うテオドールはそう言って妻を甘やかす。たまには嗜めて叱ってくれないと困りますよとリーリエは苦笑して、
「ああ、でも叶うなら、テオにはこれからはもっと家にいて欲しいんですよね」
忙しいのは知っているので、無理ない範囲でいいのですけれど、と願う。
「やっぱり、どこか悪いのか? スキル暴走しそうとか?」
心配そうにリーリエを覗き込む青と金の瞳にリーリエは、
「テオはホントに過保護な上に心配症ですね」
そう言ってクスクスと声を立てて笑った。
「リィに何かあったら、俺が困る。あとお義父さんたちに会わせる顔がないだろうが」
と、妻だけでなく妻の実家も大事にするテオドールは旦那さまとして本当に文句がつけられないくらいできた人だよなぁとリーリエは思う。
「んー病気ではなくて、嬉しい事なのですけど、体調不良はきっとこれから続くので、おうちに帰ったら教えてあげます」
疑問符を掲げる最愛の夫から蜂蜜色の髪を撫でられながら、リーリエはイタズラっぽく笑う。
家族というものが分からないっと言っていたテオドールもリーリエと関係を育んだことやアシュレイ公爵家への出入りを通して、家族のイメージがついただろう。
この事を告げたらテオドールはどんな顔をするのかなと想像して、翡翠色の瞳はワクワクと楽しそうな色に染まっていた。