生贄姫は隣国の死神王子と送る平穏な毎日を所望する
「論文を読んだが、よく考えついたな」
「大量の情報を一瞬で読み取れたら便利だなーって。ちょうどイメージできるものがありましたし」
QRコードから着想を得て作った魔術式なので、果たして自分の功績として良いものか迷うところだが、便利なものは便利である。
小さいので至る所に仕込みやすいし、大量の術式を文字、数値化して複雑に作り込めるし、発現したい魔法の読み取り間違いもない。
事前に術式を組んでいるので、具現化する魔力さえあればかなり高度な魔法も発現できる。
ただしリーリエが発表したのはQRコードではなく、バーコードレベルに劣化したものだ。それでも詠唱の省略がもたらした影響は大きい。
「もっと複雑な術式の研究を方々から求められてしまって。色んな面で心配した父からの監視が強くて自国では大変でした。アルカナは無詠唱化の文化がまだ根付いてないですし、私の事を知らない人ばかりでありがたいです。今のところ旦那さまの影だけなので、随分快適ですね」
「俺の影は護衛の意味も含めていたが、目障りなら外すか?」
「旦那さまのご自由に。ですが、私の魔術に関する情報は高くつきますからお気に留めておいてくださいね」
私の魔術式、簡単には暴かせませんよ? と自信ありげにリーリエは笑う。
カナンの技術や知識を持つ彼女の価値は計り知れない。
今後はアルカナでも同様にその身が危険に晒される可能性も高い。
「行動はこれまでどおり制限しない。好きにしろ。ただ、俺がいないときの護衛はつけされてくれ」
「旦那さまは、本当にお優しいですね」
わざわざ言わなくてもいいことなのに、ちゃんと話してくれるあたりにテオドールの誠実さを感じ、ときめく。
やっぱり推しはこれくらいの距離感で愛でるくらいが、ちょうどいいなと改めて思う。
これなら公務も乗り切れそうだとホッとした。
「やる」
テオドールは簡単な詠唱ののち、リーリエ用にカフェオレを、自分用にホットコーヒーを出現させ、リーリエに差し出す。
「そういうのは魔道具では作り出せないので便利だなーって思います。空間保存のマジックアイテムは使い捨てでコスパ悪いですし」
お礼を言ってカフェオレを受け取り、一口飲む。ミルクの優しい味が口内に広がり、落ち着く。
「羨ましいです。4次元ポケットと青色の猫なんて永遠の憧れじゃないですか」
まぁ、あっちは魔法じゃなくて科学力だけれどとリーリエは内心で付け足す。
「リーリエは、ここではないどこか遠くの話をするな」
コーヒーを飲みながらテオドールは遠くを見てつぶやくように漏らす。
精悍な横顔を見ながらリーリエは戸惑いながら、
「そう、かもしれませんね」
と肯定した。
「大量の情報を一瞬で読み取れたら便利だなーって。ちょうどイメージできるものがありましたし」
QRコードから着想を得て作った魔術式なので、果たして自分の功績として良いものか迷うところだが、便利なものは便利である。
小さいので至る所に仕込みやすいし、大量の術式を文字、数値化して複雑に作り込めるし、発現したい魔法の読み取り間違いもない。
事前に術式を組んでいるので、具現化する魔力さえあればかなり高度な魔法も発現できる。
ただしリーリエが発表したのはQRコードではなく、バーコードレベルに劣化したものだ。それでも詠唱の省略がもたらした影響は大きい。
「もっと複雑な術式の研究を方々から求められてしまって。色んな面で心配した父からの監視が強くて自国では大変でした。アルカナは無詠唱化の文化がまだ根付いてないですし、私の事を知らない人ばかりでありがたいです。今のところ旦那さまの影だけなので、随分快適ですね」
「俺の影は護衛の意味も含めていたが、目障りなら外すか?」
「旦那さまのご自由に。ですが、私の魔術に関する情報は高くつきますからお気に留めておいてくださいね」
私の魔術式、簡単には暴かせませんよ? と自信ありげにリーリエは笑う。
カナンの技術や知識を持つ彼女の価値は計り知れない。
今後はアルカナでも同様にその身が危険に晒される可能性も高い。
「行動はこれまでどおり制限しない。好きにしろ。ただ、俺がいないときの護衛はつけされてくれ」
「旦那さまは、本当にお優しいですね」
わざわざ言わなくてもいいことなのに、ちゃんと話してくれるあたりにテオドールの誠実さを感じ、ときめく。
やっぱり推しはこれくらいの距離感で愛でるくらいが、ちょうどいいなと改めて思う。
これなら公務も乗り切れそうだとホッとした。
「やる」
テオドールは簡単な詠唱ののち、リーリエ用にカフェオレを、自分用にホットコーヒーを出現させ、リーリエに差し出す。
「そういうのは魔道具では作り出せないので便利だなーって思います。空間保存のマジックアイテムは使い捨てでコスパ悪いですし」
お礼を言ってカフェオレを受け取り、一口飲む。ミルクの優しい味が口内に広がり、落ち着く。
「羨ましいです。4次元ポケットと青色の猫なんて永遠の憧れじゃないですか」
まぁ、あっちは魔法じゃなくて科学力だけれどとリーリエは内心で付け足す。
「リーリエは、ここではないどこか遠くの話をするな」
コーヒーを飲みながらテオドールは遠くを見てつぶやくように漏らす。
精悍な横顔を見ながらリーリエは戸惑いながら、
「そう、かもしれませんね」
と肯定した。