例えば、XXとか。
利香のうだうだと長い嘆きを聞きながら運ばれてきたハンバーグステーキ。
手前から利香の手が添え付けにあるポテトを奪っていく。
「 利香…… 」
「 彼氏取ったわけじゃないからいいでしょ、ただの芋よ、芋。文句ある? 」
「 ないよ、ないです 」
いつまでこうなの、参る~
ポテトを奪われながらハンバーグステーキを食べてデザート、これだけは取らせない。
そのつもりでいたが利香のスプーンが当たり前のように取っていく。
呆れながら半分食べてスマホを覗きながら、利香にあげる。
そんな中で側の席から密やかな声が耳に入った。
「 ねぇ伊織、見てよ隣… さりげなくね 」
何だろうと横目にチラリ見ると、私の位置から通路横、斜め前に綺麗な人がいる。
密やかな声はこの女の人を指してだとわかる。
利香は目で女じゃないと目配せする。
それに気づいて真横を見る……
あれ… なんか、見たような、まさかね。
でも… ん~………
無意識にしっかり見ようとしたせいか、完全に顔を横向かせ食い入るように見ていると、こちらを向いた。
あっ… ヤバ。
「 あ!!」
えっ、何…
突然の声に見れば、私をしっかり見ていた。