例えば、XXとか。

利香のうだうだと長い嘆きを聞きながら運ばれてきたハンバーグステーキ。

手前から利香の手が添え付けにあるポテトを奪っていく。



「 利香…… 」

「 彼氏取ったわけじゃないからいいでしょ、ただの芋よ、芋。文句ある? 」

「 ないよ、ないです 」



いつまでこうなの、参る~



ポテトを奪われながらハンバーグステーキを食べてデザート、これだけは取らせない。

そのつもりでいたが利香のスプーンが当たり前のように取っていく。

呆れながら半分食べてスマホを覗きながら、利香にあげる。

そんな中で側の席から密やかな声が耳に入った。



「 ねぇ伊織、見てよ隣… さりげなくね 」



何だろうと横目にチラリ見ると、私の位置から通路横、斜め前に綺麗な人がいる。

密やかな声はこの女の人を指してだとわかる。

利香は目で女じゃないと目配せする。

それに気づいて真横を見る……



あれ… なんか、見たような、まさかね。

でも… ん~………



無意識にしっかり見ようとしたせいか、完全に顔を横向かせ食い入るように見ていると、こちらを向いた。



あっ… ヤバ。



「 あ!!」



えっ、何…



突然の声に見れば、私をしっかり見ていた。




< 107 / 282 >

この作品をシェア

pagetop