例えば、XXとか。

月日を経て再会した恋人。

揺れるはずがないとは決して言えない。

心は完璧でないのだから。



「 亜稀… 俺には大事な奴がいる。だから2度と来るな 」

「 嘘よ、だって忘れてないでしょ? 私はずっと碧斗を思ってた 」



その真意わからない、理由を聞きたいとの思いがないわけじゃない。

知ると、亜稀に対しての気持ちがどう変わるか不安な碧斗。




「 また、年明けに会いに来るから 」



亜稀は碧斗の頬に手を添えて言った。

オーナー室から出た碧斗は何かを考え込んでいる。

そこへ滉が……




「 碧斗! お前ちょっと来いっ 」



強引に控え室に連れていかれ、怒りを露にする滉。



「 なんだよ、彼女って… 店長に聞いたけど別れてないらしいな、しかも現れて……
伊織ちゃんを泣かす事すんなよっ 」

「 うるさい… お前に関係ないだろうがっ 」

「 碧斗!!」

「 俺の問題だろ、ほっとけよ!」




亜稀とは終わった、亜稀が消えた日に……

俺はもう、伊織だけだ。

伊織だけなんだ。




< 116 / 282 >

この作品をシェア

pagetop