例えば、XXとか。
店長が二人を落ち着かせようとするも、それは難しいもので……
「 物事は単純じゃない、それが人なら尚更だ。碧斗も滉も行動は慎重にな、結局は誰かが傷つくんだ 」
和臣に言われ、二人はほかの店員らと仕事を終えた。
彩膳から出た碧斗と滉。
滉の車で嫌でも送ってもらう碧斗は何も喋らない。
「 碧斗の問題なのはわかってる、でも、俺も伊織ちゃんと知り合って気に入ってるんだ、あの子を妹みたいに思ってる…
だから、傷ついてほしくない 」
わかってる……
滉が伊織を気に入ってるのはわかってる。
でも亜稀は…… あの頃の俺の全部だった。
全部、過去だよ、もう。
なのに……
翌日は大晦日。
雪もちらつく寒さ、大掃除をする気力すらない中で私と碧斗の間の空気は少し変わった気がする。
碧斗は私に触れない。
甘い言葉も、名前すら……
同じ部屋にいて遠い、私たちは変わってしまうのか……
気持ちが碧斗から逃げようとしている。
何かを話せば、余計な事を口にしそうで怖い。
気分転換に、私は碧斗に何も言わず一人外に出た。
口から出る白い息、見上げる空は雪が舞う。
「 私の冷たい手でも、雪って溶けるんだね… 」
碧斗……
何、考えてるの……