例えば、XXとか。
言われて思い出す、碧斗に首につけられたキスマーク。
もう、薄れ見えない痕。
思い出す恥ずかしさで首を隠すが両手首を掴まれ、碧斗の顔が視界を埋める。
「 なぁ 俺の、だよな 」
「 何、が?」
どうしよう、心臓ヤバい!
近すぎて、キスしちゃいそう……
「 伊織 」
「 何… 」
パッと離された手首から、碧斗の手に包まれる頬と見つめられ……
どうしてあの時、俺は動かなかったんだ……
亜稀より伊織が大事なのに、わかってるのに、なんで……
優雅といるお前を見たくなかった。
じっと見つめる碧斗の目が、少しだけ悲しそうに見えた。
「 碧斗、どうしたの?」
私の頬にある碧斗の手に手を重ねた。
「 伊織、その目に写る奴は俺だけにしてくれ 」
そう言って、優しく触れてきた唇。
碧斗の優しいキスを、私は拒まない。
碧斗…… 好きだよ。