例えば、XXとか。
知り合ったばかりの滉のお墓参りに付き合い、滉の知られざる一面を見てわかった事がある。
碧斗の家に来るのは、一人で寂しいから。
まだ一人でいることに慣れないから。
誰かと一緒にいるという共有時間が必要だから。
「 滉君、なんか飲みたい 」
「 お、いいよ~ 」
「 じゃあ 自販機のコンソメスープ 」
「 自販機の?店に行けばいいのに~ 」
「 いいの いいの 」
自販機のでいい、美味しいから。
私の生活に欠かせない自販機だからね。
滉に寺の外にあった自販機でコンソメスープを買ってもらい、高速途中にあるサービスエリアに寄って連れていきたい所があると言う。
そこはフラワーパークに小規模の遊園がある所。
見て回ろうと一緒に行く。
「 初めて来た、こんなとこあるんだね 」
「 昔はもっとでかく感じけどね、懐かしいなぁ 」
懐かしい、かぁ……
私はこういう思い出少ないかも。
仕事休みだと朝から飲んでたもんね、あの人……
滉君は幸せだったんだな。
家族の思い出っていいな……
「 来て、伊織ちゃん 」
私に差し出される滉の手。
照れではなく、妹になったような気持ちで手を繋いだ。
兄がいればこんな感じか、仲良しの兄に甘えるのはこんな感じかと、手の温かさに安らぐ。