例えば、XXとか。

出会いは運命だった、家族になる過程で必要な出会いだった。

でも、私は恋をした。

引き返せない……


兄になった碧斗に恋をした。



「 伊織ちゃん、碧斗は大丈夫。伊織ちゃんも大丈夫だよ、二人が決めればそれが運命だから、わかった?」

「 ほんと、お兄さんだね 」

「 まぁな~ イケメン兄貴は忙しいよ 」



笑いながら冬の空の下を二人で歩く。

冬の花が迎えてくれる中で雪もちらついて、景色が変わる。



「 碧斗、どうしてるかな 」

「 寝てるだろ、じゃなかったら… プッ… アイツの事だから帰りをイライラしながら待ってるよ 」



あ~ そんな感じする。

碧斗っぽい。

帰ったら喜ぶかな……

私の顔見たら、どんな顔するかな?



それから三時間後にマンションに着いた。

滉はそのまま帰宅して、私は玄関を開けた。

その時の碧斗の顔が……



「 ただいま… 碧斗 」



少しはにかんだ私の笑みに、碧斗が抱きしめて、ギュッ… と抱きしめてくれる。



「 やっと、俺の腕の中だな… 伊織 」



“待ってた”



耳元で碧斗の言葉が、私を心ごと閉じ込めた。


< 144 / 282 >

この作品をシェア

pagetop