例えば、XXとか。
“捕まえた”なんて、耳元で小さく言われてキュン…とする。
私を真ん中に置いて腕を私の前に器用にゲームをする碧斗。
じっとしてるしかなく、コントローラーを動かす指を見つめたり、画面を見たり、碧斗の動作に落ち着かない。
「 碧斗、やりにくくない?」
「 別に。俺器用だから、試してやろうか?」
「 何を…… 」
顔を向ければ同時に重なった唇。
チュ… とされて、碧斗はまたゲームを。
私は顔を前に向け赤くなった。
もう、ほんと……
「 お! やった、勝ち抜き~ 」
「 おめでとう 」
ささやかながら拍手した私に碧斗は、勝った褒美をくれと言う。
じゃないと困るのは私だと……
何をどう反論しても倍になって言いくるめられるに違いない。
だったら……
私は碧斗へ向き直り、碧斗のおでこに軽くキスをした。
それには碧斗が驚いていた。
何だかんだ言って何もしない私だと思っていたはず……
私もそれくらい、出来る。
「 へぇ… 自分でしといて照れるとか、誘ってるとしか思えないね 」
二人いれば、どうしても越えたい壁と、越えるには勇気がいる壁がある。
だから、今は……
碧斗のキスがスイッチとなる。
甘さは増すばかりで、私じゃ止められない。
「 伊織、もっとキスしたい 」
私も…… 碧斗とキスしていたい。