例えば、XXとか。

菜月と利香は担当する優雅に来てもらうために、注文を一つ、二つずつとマメにしている。



「 菜月、どう思う?伊織の彼とイケメン店員の井関君 」

「 ん~ 比べらんないけど… 伊織の彼は伊織のだしなぁ 井関君だね 」

「 ねぇ、私無視して話さないでよ 」

「 あんたはいいの! 彩膳の店員でしかも彼氏があの碧斗君だし~ 」

「 そうだよ、なんたって禁断、きゃあ~ 」



……ペラペラと。

彩膳に来たって碧斗と話せないし、彼氏って言っても堂々とできないし。



菜月と利香は優雅に自分の番号をアンケート用紙裏に書いて渡す始末。



「 ご丁寧にありがとうございます 」

「 いえいえ、とんでもないです~ 」



あ~ 恥ずかしい。



と、席の前を店長の和臣が通り、私は席を離れて声をかけた。



「 あの、店長さん!」

「 はい、何か… あれ、君 碧斗の 」

「 あ、はい。一応、たぶん…… あの時は大変お世話になりました、ありがとうございました 」




そう言うと和臣は優しい顔で笑ってくれた。





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