例えば、XXとか。
「 あれ、誰だったのかな…… 」
菜月と利香が顔を見合わせ首をかしげる。
誰とは誰かと、二人に聞かれるがわからない。
不意に何かを思い出すように、頭に浮かぶ光景。
目をぐっと閉じて俯く。
「 伊織?」
「 利香、伊織お願い 」
私は耳も塞いだ。
嫌な気持ちだ…… すごく、気持ち悪い。
菜月は席を離れて碧斗を探す。
「 あ、井関君、あの… 」
「 はい、何かお探しですか?」
「 ……木崎 碧斗君、呼んでください 」
「 え、お客様それは…… 」
「 緊急事態なんです、彼の身内がちょっと…… お願いします 」
身内が、それを聞いて優雅は席へ急ぎ行く。
それを慌てて追う菜月。
「 菜月… あれ、井関…… 」
「 伊織ちゃん、伊織ちゃん!」
優雅が私に呼びかけ塞いでいる手を外す。
利香は菜月に二人は知り合いかと聞くが、菜月はよくわからないと顔をする。
「 伊織ちゃん… 俺だよ、どうしたの?」
「 優雅君…… あの人、誰か知ってる?」
何かを、見落としてる気がする。
気のせい?