例えば、XXとか。

「 伊織がねぇ…… 」

「 ほんと、伊織がねぇ…… 」



な、何……



「 モテ期経験ない伊織だから、ここは我慢ね、譲る。だってねぇ菜月 」

「 何をよ 」

「 モテ期は自然の流れよ、仕方ない、今だけだしね、しかもなんか楽しそう 」



だから、もう…… やだ。



菜月と利香は私に訪れたモテ期は今だけだからとイケメンに囲まれるのを見て楽しむと言う。

私がいれば彩膳だけでなく、知り合いが増えるのが嬉しいらしい。

そろそろ帰ろうかと席で会計をする。



「 本日はありがとうございます、こちらをレジに提示してください 」

「 優雅君、店長さんにデザートのお礼を… 」

「 伊織ちゃん、明日会えないかな?」

「 え…… 」



菜月と利香の前で誘われた私。

横でニヤニヤする二人を先に行かせて返事をする。



「 私…… あのね 」

「 ダメ?」



ダメかと聞かれ、ううん、と首を振った。

本当は碧斗に聞きたいことがある。

胸のうちにあるモヤモヤをなくしたいから。



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