例えば、XXとか。

不意に目の前の光景が刷り変わったように見えた。

忘れてる何か… 見た気がした。



目の前を塞ぐのは滉の手。

視界を閉ざした滉の手。


似たことがあった、それを今見ているような感じだ。




「 伊織ちゃん?」



あの時、滉君がしたみたいに優雅君が私の目を隠した……

だから、見た気がした碧斗を見間違いって思ったけど……


違う、違うよ。

あの時、優雅君の手に隠されて……



“見るな”



そう言われたみたいな……


碧斗、見間違いじゃない。

いたんだ、彼女がいた。




「 あ…… 」

「 伊織ちゃん、伊織ちゃんって 」

「 ……滉君、あの人は誰? 」

「 え、あの人って…… 」



まさか、まさか……



「 どうして、碧斗と? どうして彩膳にいたの? どういう関係なの、わかんない、わかんないよっ 」

「 伊織ちゃん…… 」



頭を抱えるように自問自答する私を落ち着かせたい滉。

滉は私の言うあの人が誰か察しがついた。

碧斗からのラインに幸哉からのライン。

亜稀が店に来たとわかり、困惑する。




碧斗、お前何やってんだよっ……




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