例えば、XXとか。

滉にすがるように聞いた、彼女は誰かと……



「 神社にいたの、優雅君と会った時に手でいきなり目隠しされて、ビックリして…
でもその時に碧斗を見たの、間違いじゃなかった…… ねぇ滉君は碧斗の友達だから何か知らない?
あんな風に碧斗に笑う人知らない、嫌な感じがするの…… 」



彩膳にいる綺麗な店員より遥かに気になるのは、きっと女の直感。




「 伊織ちゃん、寒いから家に入ろ、な?」



肩を支えられて自宅に。

リビングで立ち尽くす私……

滉が部屋を温めてくれる。

さらに、コーヒーを作ってくれたが飲めず座り込んだ。



何なのこれ……

気持ちが悪い。




「 伊織ちゃん、碧斗と話そう 」



滉は碧斗の部屋で彩膳に電話をかけた。

店長が出て店は落ち着いてるからと碧斗を帰すと言い電話を切った。

約一時間経ち、碧斗が帰ってきた。



「 滉!」

「 碧斗… 俺、帰るから話してやれ 」



滉は何かしてやりたいと思いながら、今は何も出来ることはないと帰ることにした。


碧斗はリビングに座り込み俯く私のそばに来て抱きしめて……




「 伊織、彩膳で見たこと…… 」

「 うん… 誰? 私… 一人で伊佐波神社に行った時に見たの、あの人と一緒にいたよね 」

「 前に付き合ってた…… 突然消えて、ずっと音信不通で、再会した。
亜稀は… 俺が真剣に思ってた女だ 」



真剣に思ってた女……

あまりに、予想したよりも胸にひどく突き刺さった言葉。



「 元カノ…… 」

「 そう思ってるのは俺だけだった事に戸惑ってる、でも、俺の中では過去だ 」



そうは思えない、だから動揺してる心が気持ち悪い。



「 伊織、信じろ、俺の中には伊織だけしかいない 」



私は女だから、少なくともわかる。

私が碧斗を見る目と同じだった。


だから、怖い……




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