例えば、XXとか。

優雅の手を見て思う。

なぜ、あの時私の視界を遮り隠したのか。



「 神社で会ったよね、優雅君が友達と来ててはぐれて私と一緒にいてくれたよね……
あの時、ほんとは碧斗と一緒にいた?」

「 ……いた。ごめん 」

「 やっぱり… そっか。だから、見ないようにしてくれたんだね、彼女がいたから 」



見るな、そう言った気がしたから。



「 彼女は碧斗と別れたつもりはなくて、碧斗とやり直したいみたいなんだ 」



思ってた通りだなぁ

別れたつもりはなくて、なんて…… 気持ちがしっかりあるじゃない。

二人の間に私は入れないんだから……


私は妹だよ、もし知られたら終わり。



「 妹って言うのは損だね…… 」



どうして、私なの?

どうして、私が妹なの?

どうして、どうしてなの……



優雅に以前言われた事を思い出した。

碧斗でなく、優雅を選ぶ……



「 伊織ちゃん、碧斗が彼女を選んだら…… 」



……いや。



「 俺が壁になって泣かせてあげる、誰からも見えない壁になって守るから 」



優雅は優しい。

一度は優雅が本気で私と向き合うと言ってくれた。

でも……


私は碧斗が、好き。


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