例えば、XXとか。
優雅と電車に揺られ向かった先は昔からある動植物園。
まさに、デートと感じる場所。
伊織の手を取り、繋ぎたい優雅。
その機会はいくらでもあるはずなのに、躊躇し出来ない。
「 人、多くなくて良かったね 」
「 だな 」
「 優雅君はこういうとこでデートするんだ 」
「 え、なんで?」
何となく、ただ動物や花を見ながらゆったり歩く。
穏やかで二人で歩くには最適だと思う。
「 碧斗とは来ないの?」
「 ……まだ、こんな風には 」
どこかへなんて、初詣くらいだし。
碧斗といろんなとこに行きたいよ……
仲のいい兄妹としてじゃなく、恋人として歩きたい。
「 伊織ちゃん、俺を碧斗だと思っていいから…… 手、繋ご 」
碧斗と思って……
なんて悲しい事を、そう思った。
「 優雅君、私の事…… 」
「 好きだよ、だから… いんだよ、碧斗の代わりでも、笑顔見せてくれるならいくらでも 」
本気で、そう思った。
以前に思ったよりももっと…… 優雅の気持ちを近くに感じた。