例えば、XXとか。

優雅の手が離されて、光が眩しくて……

優しい微笑みはとても悲しい事を知っている。



「 碧斗じゃない、優雅君だよ 」

「 え… 」

「 今 優雅君といるの、デートでしょ?」



気持ちに答えられない、でも、今は優雅に向き合うと決めた。

碧斗の代わりはいない。

碧斗の代わりにはしない。



「 奥で餌やりが出来るとこあるって、行ってみる?」

「 うん!」



手を繋いで、端から見れば恋人に見えるだろう。

でも違う。

優雅の心は痛くて、それでも見る笑顔に負ける。

渡したくない、葛藤が渦巻くのを必死で押さえる。

出来れば、兄と妹でいてほしいと願うだけ。

今は叶わなくても、いつか……




「 優雅君、来て!」



君の笑顔を……

俺だけのものにしたいって言っても、君は困るよな。

伊織ちゃん……



「 可愛いーっ 」



俺が可愛いと思うのは、君だけ……

奪いたいのに、奪えない。


なぁ 伊織ちゃん、俺の視界を君で埋めないでくれ。



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